Introduction to Japanese Study - 日本語学習入門
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この2つの文は、どちらも、英語・中国語などに訳せば同じ訳になってしまうでしょう。ですから、(1)と(2)の微妙な違い、つまり「は」と「が」の違いは、多くのノンネーティブスピーカーにとって難しいものと映るようです。が、言語学的な目で解析すると、「は」と「が」の違いは、はっきり捉えることができます。それを説明するために、ここで、もう1つの文を加えます。 まず、(3)を簡単に説明しましょう。(3)も、あらわしている事実は (1)(2)と同じで、“Tanaka drank tea.”という内容をあらわしています。ですから、「お茶」は目的語で、「田中さん」が主語です。つまり、(3)では、目的語「お茶」に「は」が付き、主語「田中さん」に「が」が付いていることになります。この例から、「は」はsubject markerではなさそうだ、と感じさせられますね。では、「は」はどういう働きをするのでしょうか。 (1)(2)(3)は、事実としては同じ事実をあらわしますが、いわば述べ方が違うのです。そして、その述べ方の違いに関係しているのが、「は」(「は」の有無と、「は」が何に付いているかということ)なのです。 34 (1) 田中さんがお茶を飲みました。 (2) 田中さんはお茶を飲みました。 (3) お茶は田中さんが飲みました。 事実は同じ、述べ方の違う3つの文 主語をあらわすには、「は」のほかに、もう一つ「が」という助詞があります。上の(a)の文についても、「は」の代わりに「が」を使った、次の(1)のような文を使う場合もあります。上の(a)の文も、(2)として、その下に書いておきましょう。

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