Introduction to Japanese Study - 日本語学習入門
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(以上は、「東京大学日本語教育センター・ニュース」35号に 掲載の菊地康人〈本センター元教授〉「日本語の特徴を知って効果的に勉強しよう(3) 敬語とstyle」とほぼ同じ内容です。) 30 「んです」 丁寧さや感じのよさに関係する表現は、実はほかにもたくさんありますが、一つだけ、「んです」について触れておきましょう。「行きます」と「行くんです」。どちらも、英語などに訳せば、同じ訳になってしまい、その使い分けはなかなか難しいのですが、後者の「んです」の形を使えば感じのいい言い方になる、という場合が時々あります(いつも、というわけではありません)。たとえば、先生に対して、「あした、国の友だちが日本に来ます。授業を休んでもいいですか。」と言うのと、「あした、国の友だちが日本に来るんですが、授業を休んでもいいですか。」と言うのとでは、後者のほうがだいぶ感じよく響くと思います(この場合、「……んですが」の「が」も有効に働いていますが)。 日本語教育の専門家の中には、「外国人には『んです』は難しいから教えなくていい。」という意見の人もいるようですが、確かに難しい面はあるものの、今のような大事な面を持つ言葉ですから、こうした点を含めて、私たちのコースでは、できるだけ、その呼吸などを伝えていきたいと考えています。 大事な点のまとめ : 日本語学習へのアドバイス(3) 日本語学習で敬語は不可欠。 封建的だという先入観は捨てること。 1. 敬語は人称を暗示する。 いらっしゃいますか。(尊敬語→主語はyouが普通) まいります。(謙譲語→主語はIが普通) 2. 2つのstyle(初めはpolite styleから) 行きますか?-はい、行きます。(polite) 行く?-うん、行く。(casual)

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