Introduction to Japanese Study - 日本語学習入門
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28 ところで、書き言葉の場合、たとえば論文・レポートや新聞記事などではpolite styleは使わないのが普通です。これをcasual styleと呼ぶわけにもいきませんから、plain styleと呼んでいます。polite styleの反対は、書き言葉の場合には(あるいは、書き言葉・話し言葉を通じていう場合には)plain styleです。 styleを指すのではなく個々の形を指す場合には、plain form,polite formという言い方をします。たとえば、「行く」はplain form、「行きます」はpolite formです。これは現在・肯定の場合ですが、過去・肯定なら「行った」がplain、「行きました」がpoliteです。それだけではありません。動詞の後には否定や、可能・使役・……などをあらわすさまざまな要素が付くことはすでに触れましたが、こうしたさまざまな形についても、実はplain formとpolite formがあるのです。 「わあ大変。でも、さっきの話だと、要するにpoliteなほうを使っていれば無難なわけですね。じゃあ、plain formは覚えなくてもいいということになりますね。これで行こう。」ですって? 残念でした。これがまた、そうはいかないのです。というのは、plainとpoliteというのは、文末ではstyleの違いなのですが、実は、文末以外の位置では「どんなに丁寧に述べようとする場合でも、ここは文法・文脈の要請上どうしてもplain formを使わなければならない」というところがあるのです。たとえば「あした行くレストラン」the restaurant where I go tomorrowというようにmodifying clauseの中ではplain formを使わなければなりません(詳しくは、教室で勉強してください)。 そういうわけでplain formとpolite form、両方を身につける必要があります。大変そうに思えるかもしれませんが、これは前回触れた動詞の活用の一部として、手順を踏んで身につけていけば大丈夫です。なお、plain form とpolite formは、前者のほうが短いので、前者をshort form、後者をlong formと呼んでいる教科書もあります。 politeの反対語として使われるため、plainについては「impoliteということなのですか。」という質問を受けることがありますが、今までの説明で、決してそういうわけではないことがわかっていただけたと思います。まず、今最後に述べた、文末以外で文法・文脈上の要請からplain formを使わなければならない場合は、impoliteではありません。また、文末の場合でも、書き言葉の、論文・レポートや新聞記事のplain style は、もちろんimpoliteではありません。話し言葉でも、親しい間で使うplain(casual)styleは、もちろん何の問題もありません。plain=impoliteということではなく、「文末でpolite styleを使うべき相手にplain(casual)styleを使って話すとimpoliteになる」ということなのです。

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